山本一歩句集『谺』

 山本一歩さんは結社「谺」の主宰であられ、平成8年には角川俳句賞を受賞しておられる。この年は、確か四十三歳ではなかったか。最近は視覚障害がでて、白杖を使っておられるようだ。この第五句集は「過去の断片を句にしている」とのことであるが、「目に頼らないこれからの俳句が別に存在することを信じたい」と「あとがき」に書かれている。平成29年10月2…
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尾池和夫句集『瓢鮎図』

 尾池和夫さんが第二句集『瓢鮎図(へうねんづ)を出された(角川書店、平成29年10月25日)。氏は俳句結社「氷室」(主宰金久美智子)の現在副主宰で、来年一月から主宰役を継がれる予定。確か京大の総長をも務められた方。  余談だが、筆者(=栗林)は、尾池さんの講演を聴いたことがある。俳人協会主催で、俳句文学館の講堂であ…
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大牧広『シリーズ自句自解Ⅱベスト100』

 大牧広「港」主宰が表記の自句自解シリーズを出された(平成29年10月23日、ふらんす堂)。永年にわたる氏の句業を俯瞰するにはもってこいの著書である。  筆者(=栗林)にとっての懐かしい句、あらためて琴線に触れた句などを、10数句に絞って掲げる。頭の数字は同著の句番号。 002 もう母を擲たなくなりし父の夏 …
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衛藤夏子 俳句とエッセー『蜜柑の恋』

 衛藤さんは「船団」のメンバーで、この度上梓された『蜜柑の恋』はショートエッセイに俳句を100句ほど添えてある。うち10句にはやや長い自解が添えられている。帯には、坪内捻典さんが「なっちゃん(夏子)は自然体、そしてちょっとした幸せにとても敏感だ」とある。  俳句100句の中から、筆者(=栗林)の共鳴した20句を掲げ…
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友岡子郷句集『海の音』

 友岡子郷さんが句集『海の音』を出された(朔出版、平成29年9月20日)。第何句集なのかつまびらかではないが、多分10冊をゆうに超えているであろう。  子郷さんについてはその俳歴をここで紹介するまでもないが、現代俳句協会賞、詩歌文学館賞、みなづき賞などを受けておられ、「青」「ホトトギス」を経て「雲母」に移り、飯田龍太の選を25年間にわ…
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安部元気句集『隠岐』

 安部元気さんが第四句集を出された(平成29年9月29日、文學の森。奇しくも同日、志賀康さんの『主根鑑』も同所から発刊されている。お二人とも、1943、1944年のお生まれで、しかも東北に縁がある)。元気さんは「童子」(主宰は辻桃子)の副主宰で、句集『一座』で加藤郁乎賞をうけている。  自選句は次の10句。 …
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志賀康句集『主根鑑』

 志賀さんが第四句集『主根鑑(おもねかがみ)』を出された(平成29年9月29日、文學の森刊行)。氏は俳句評論も熟達・尖鋭なお方で、「LOTUS」の同人でもあられる。  自選句は次の通り。   毛祝(けほがい)や北斗へ返す雪明り   大鷹の仕上げに内なる南風   友もまた鶴の喉に迷いてか   降るもののあ…
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衣川次郎句集『青岬』

 衣川さんが第三句集『青岬』を刊行された(平成二十九年九月二十五日、角川文化振興財団)。氏は大牧広主宰の「港」の副主宰であられる。高野ムツオさんが著者の俳号の由来「衣川」に因んで、ていねいな跋文を書いている。同所は著者の奥様のご出身地の由。氏は「私の俳句の原風景がここにある」という。    自選句は次の十句。 …
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日原傳句集『燕京』

『燕京』は日原さんの第四句集(平成二十九年九月二十三日、ふらんす堂刊行)。氏は有馬朗人主宰の「天為」の同人・編集顧問であり、昔から、東大学生俳句会で小佐田哲男、有馬朗人、山口青邨各氏の薫陶を受けている。  題名『燕京(えんけい)』は日原さんが留学していた北京市の別称だとあとがきで知ったが、筆者(=栗林)も北京出張の際には、「燕京飯店」…
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九条道子句集『薔薇とミシン』

 九条さんは戸恒東人主宰の「春月」の春星集同人で、『薔薇とミシン』は第一句集(平成29年9月15日、雙峰書房刊)である。題名は、九条さんがミシン商会を営んでいることと、ご主人の遺愛の薔薇園を大切に受継いでおられることに因んでいる。日常吟や旅吟を中心に、自分史のつもりで詠んだ句群からなっている。ご高齢のご母堂がお元気なうちに上木したいと思…
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岸野常正句集『槻の小径』

 岸野さんが表記の第二句集を出された(平成二十九年九月十五日、文學の森刊行)。氏は「草の花」の藤田あけ烏主宰に学び、あけ烏没後「草の花」を継がれた名和未知男現主宰にそのまま師事している。平成二十一年に同結社新人賞を受けた。  岸野氏の自選句は次の通り。   寒明けの雲が雲追ふ伊吹山   馬出しの風の広場や花…
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後藤比奈夫句集『あんこーる』

 後藤比奈夫さんが第15句集を刊行された(ふらんす堂、平成29年8月8日)。あとがきに、先に刊行した第14句集『白寿』が好評で、第三十二回詩歌文学館賞を受賞し、「ふと音楽会で演奏のあと、客が拍手でアンコールする情景が頭に浮かんだ。句集にもアンコールがあってもよいのかもと思った」とある。氏は百歳を超えられた。平成27年夏から平成29年5月…
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浅井民子句集『四重奏』

 浅井民子さんが第二句集『四重奏』を刊行された(平成29年8月25日、本阿弥書店)。浅井さんは「帆」の主宰であられ、第一句集に『黎明』がある。帯には坂口昌弘氏が、次の句を掲げ「春夏秋冬は四時の楽器と化し、四重奏を奏でる。民子の句集は人と自然の共生を希求する」と書いている。   あめつちへ深き祈りを大花火   自…
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井原毬子句集『毬子』

 井原鞠子さんが句集『毬子』を上梓された(平成29年6月30日、喜怒哀楽書房)。鞠子氏の俳句歴は、高浜朋子さんの「朋芽会」に入り、「くるみ」(保坂リエ主宰)、「斧」(小島千架子主宰)に所属しておられる。さらに、お年寄りのための俳句講師をつとめておられる、と聞く。そのせいか、その作品は伝統的な有季定型である。  …
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井上けい子句集『森の在所』

 井上さんが第二句集『森の在所』を出された(平成二十九年八月二十六日、文學の森)。氏は二十年程の句歴を持たれ、「水明」と「遊牧」に入られている。序文は塩野谷仁氏が、「井上さんは明晰の人である」と書き、多くの佳句を挙げておられる。  井上氏自身の自選句は次の十句である。   胸中に砂漠のありて青嵐   白薔薇を風…
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『寺島ただし集』―自註現代俳句シリーズ

 寺島ただしさんの句集『寺島ただし集』を読む機会を得た(平成29年8月5日、俳人協会刊行)。氏は阿部みどり女の「駒草」に入門、平成4年に角川俳句賞を受賞されている。この句集は4番目の句集で、過去3句集からの抽出句とそれ以降のものからなっていて、全299句を収めている。  自選句の表示がないので、筆者(=栗林)の…
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栗林浩編著『昭和・平成を詠んで』予告PR

 近く筆者(=栗林)の『昭和・平成を詠んで―伝えたい俳人の時代と作品―』が刊行されます。前回は、娘たちの著作のPRをさせて戴きましたが、ここでは筆者自身のPRを少しさせて下さい。  該著は、80歳から106歳の俳人を直接取材し、あるいは著作を精読した上で、戦争や震災の悲惨さや辛苦を纏めたものであります。始めた時は、安保法制がかしましく…
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栗沢まり著『15歳、ぬけがら』……給食のない夏休みが困る子供たち

 今回は俳句とは大幅に違って、個人的なPRをさせて戴きます。  小生の長女栗林佐知は、平成14年に「販売機の恩返し」で第70回小説現代新人賞を受賞し、平成18年には第22回太宰治賞を戴き、『ぴんはらり』(筑摩書房、平成18年1月15日)を上梓致しました。  この小品の始まりは……鏡なんてものを誰も知らない山深い村でのこと。親孝行…
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細井紫幸句集『青葉木菟』

 細井紫幸さんが第二句集『青葉木菟』を上梓された(文學の森、平成29年8月23日)。氏は藤田あけ烏と名和未知男(現「草の花」主宰)に師事し、同誌の編集長や副主宰をつとめられ、現在も無鑑査同人として活躍されておられる。  序文には、名和主宰が、丁寧な鑑賞を書かれている。  自選句は次の10句。   たんぽぽや…
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中島修之輔句集『系譜』

 中島さんは「港」(大牧広主宰)の同人で、このほど第一句集を出された(文學の森、平成二十七年七月刊行)。  大牧主宰抄出の十句は次の通り。   非常時の男はやさし榛の木   生身魂シベリア帰りの面構   沖縄忌追悼の辞に虚実あり   朧夜の燈火管制めく酒場   ノルマ負ふ営業職には麦茶出す   薩摩…
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