宇多喜代子句集『森へ』

 宇多喜代子さんが第八句集を上梓された(平成30年12月7日、青磁社刊行)。  宇多さんは、前々現代俳句協会の会長であられ、蛇笏賞も受けられた超著名な方。4年前には『宇多喜代子俳句集成』を出されておられる。  自選には次の10句が掲げられている。  一瞬が一瞬を追う雪解川  樟落葉肩打つ膝打つわが戦後 …
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中井洋子句集『囀の器』

 中井洋子さんは「小熊座」の重鎮で、栃木県芸術祭文芸賞(俳句部門)や小熊座賞を貰っている。この句集『囀の器』は第二句集で、平成30年12月25日、ふらんす堂刊行である。跋文は「小熊座」主宰の高野ムツオさんが丁寧に佳句を多数引きながら書いている。帯文には、   シリウスに耳がもつとも繋がりぬ を引いて、「言葉を五七五の空間に自分の感覚…
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林亮句集『瞭』

 林氏の第二句集(平成30年12月1日刊行)。氏は高知の人で、「草苑」を経て「草樹」の会員。だから宇多喜代子さんに連なる作家である。  該句集『瞭』はこの二年間の作品で、600句を超えている。一頁4句だてで、170頁を超える渾身の句集である。  自選句の提示がないので、早速、筆者(=栗林)の共感句を掲げる。 …
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藤埜まさ志句集『木霊』

 藤埜さんが第三句集を上梓された(角川文化振興財団、平成30年12月23日刊行)。氏は草田男の「萬緑」に平成11年に参加。同時に榑沼けい一の「群星」に所属。以降、成田千空、奈良文夫、横澤放川各氏らの薫陶を受けられた。  帯文には「森の座」の横澤放川氏が、   木の精を噴きて大榾燃え始む を引き、「自然から人事に至るまでの熟成された…
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赤野四羽句集『夜蟻』

 赤野氏は、平成28年に現代俳句新人賞を受賞された気鋭の方で、該句集は2018年7月に邑書林から刊行されている。  自選句は次の10句。   春月や数学教師落下する   永き日に挙手の少女ら立ち並ぶ   枇杷二つ南の島にあるむかし   身の内に永劫巡らせて栄螺   茄子の馬とうとう姉の夜が来た   珈琲の染みも秋には罪…
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『岩淵喜代子集』へのお礼

冠省 『岩淵喜代子集』を賜り、早速、読ませて戴きました。139頁に   孫連れて南瓜の花の咲くところ を見つけ、懐かしく思い出しました。小生が、この句について「遊牧」に書いた感想文のことであります。すでにお目に触れられているかと思いますが、再掲いたします。  岩淵喜代子の第六句集『穀象』から引いた。この句集により詩歌文学…
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井原美鳥句集『分度器』

 井原さんは能村研三主宰の「沖」と磯貝碧蹄舘主宰の「握手」で学ばれた方で、千葉県俳句作家協会の新人賞を平成23年に受けている。『分度器』は第一句集で、序文は能村主宰、栞は相子知恵さんが書かれている(平成30年12月3日、ふらんす堂刊)。その鑑賞は極めて懇切である。 句集名『分度器』は〈大いなる分度器鳥の渡りかな〉によっている。 …
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大牧広句集『朝の森』

 大牧広「港」主宰が、第10句集『朝の森』を出された(ふらんす堂、平成30年11月15日)。帯には「敗戦の年に案山子は立つてゐたか」の一句があり、「戦争体験の一証言者として老境に安んじることなく反骨精神をもって俳諧に生きる著者の渾身の新句集」とある。  自選句は次の通り。   鳥雲にヒトはめげずに希望抱く…
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佐怒賀正美句集『無二』

 佐怒賀正美さんが第七句集『無二』を上梓された(ふらんす堂、平成三十年十月二十九日)。  佐怒賀さんは、山口青邨、小佐田哲男、有馬朗人らの指導を受け、石原八束、文挾夫佐恵両主宰のあとを継いで現在「秋」の主宰を務めていらっしゃる。「天為」の特別同人でもあられ、現代俳句協会の要職をも務められている。  句集名は、〈無二の世を落葉の孔の網…
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川名将義句集『回帰』

 川名さんが表記の句集を出された(平成三十年十月十日、ふらんす堂刊行)。既刊句集には『湾岸』『海嶺』があり、氏は後者で横浜俳話会の大賞を受けられた。「銀化」第一同人で、連句も嗜まれている。  帯文には、中原道夫主宰が……「銀化」には何人かの“地雷”と称される俳句巧者がいる。この川名氏もその一人。その句の変幻自在は永年「連句」をやって来…
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『朝吹英和句集』

 朝吹英和さんが既出三句集およびその後の作品を抄録した『朝吹英和句集』を上梓された(平成三十年九月二十五日、ふらんす堂)。氏は、かつて磯貝碧蹄舘主宰の「握手」編集長であられた。主宰没後は、いくつかの句会の世話人をされている。「俳句スクエア」同人。  解説は、長嶺千晶さんと松本龍子さん。  筆者(=栗林)も「握手」…
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永瀬十悟句集『三日月湖』

 永瀬さんは、東日本大震災とそれによる福島原発の事故を五十句にまとめ、詠いあげ、角川俳句賞を受けられた方。このほど表記の第二句集を出された(平成三十年九月十二日、株式会社コールサック社刊行)。表題『三日月湖』は、原発事故による高線量域が、三日月湖のように取り残されていることから取られた。  帯には……「十万年」という遥か遠い未来を「鴨…
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日下野由季句集『馥郁』

 日下野由季さんが第二句集『馥郁』を出された(ふらんす堂、平成三十年九月二十五日)。ふらんす堂らしい瀟洒な表紙である。由季さんは「海」の編集長で、目下大活躍中の若手であり、山本健吉評論賞をも受けている。ご家族は俳人一家であり、俳句環境は申し分ない。  栞は大木あまりさんが書いている。  自選句は次の十二句であ…
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『今井杏太郎全句集』

 今井杏太郎全句集刊行会が同全句集を編纂し、このほど出版した。会のメンバーは、鴇田智哉さんや仁平勝さんほか六名の方々である(角川書店、平成三十年九月二十八日)。  以前から今井杏太郎の作品に興味を持っていた筆者は、すぐに第一句集『麥稈帽子』(昭和六十一年)から第五句集『風の吹くころ』及び、それ以降(平成二十四年まで)の全句を読んでみた…
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古志青年部作品集 2018

 結社「古志」(大谷弘至主宰)の青年部が2018年の作品集を出した。今年も寄贈を受けたので、筆者の勝手な好みながら、選んでみた。ご参考までに、ここに掲げて謝意を表します。 07 もの枯れてだんだん広くなる平野      イーブン美奈子 09 畳替え母も小さくなりにけり          石塚 直子 11 白菊は折られて花と…
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金丸和代句集『半裸の木』

 金丸さんが表題の句集を出された(朔出版、平成30年9月25日刊行)。金丸さんは、今井聖さんの「街」の幹部同人である。序文は今井主宰。文中、主宰は「金丸さんは街俳句会の橋頭堡だ」という。「街」の方向は、古臭い俳句趣味を否定し、現代の日常生活からの新発見を、自分に引き付けて書くことをモットーとしている。その方針の先頭集団に、金丸さんがいる…
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福田甲子雄―産土と人への相聞俳人

『福田甲子雄全句集』が刊行された。それについては、平成30年9月28日付の小生のブログに掲載させて戴いたが、10年も昔、甲子雄さん亡きあと、ご夫人を訪ねて、表記の小文を書いたことがあった。そのとき、齋藤史子さんや保坂敏子さんが同席して下さったことを感謝している。その小文は、小生の『続俳人探訪』(平成21年2月15日、文學の森刊行)に載せ…
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『福田甲子雄全句集』

 福田甲子雄ファンには待ち遠しかった全句集が刊行された(ふらんす堂、平成三十年十月一日)。俳誌「今」のメンバー(齋藤史子、瀧澤和治、保坂敏子)を中心とした「『福田甲子雄全句集』刊行委員会」が編集したものである。  筆者(=栗林)は甲子雄のファンの一人だから、この全句集発刊の噂を聞いていて、今かいまかと待ちわびていたのであった。その表紙…
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岡田一実句集『記憶における沼とその他の在処』

 岡田さんが該句集を上梓された(青磁社、平成30年8月30日刊行)。氏の第三句集である。42歳の若さで、第三句集だから、凄い。そのはず、平成22年には芝不器男俳句新人賞にて城戸朱理奨励賞を、26年には現代俳句新人賞を受賞している。現在は「らん」同人。跋文は、現在、若手評論家として活躍の青木亮人氏が「(この句集は)水や湿り気を帯びた感触を…
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奥井志津句集『初鏡』

 奥井さんの第二句集。平成30年9月8日、文學の森刊行。氏は北海道小樽の出身。はじめ上田五千石に師事し、今は鳥井保和主宰の「星雲」の主要同人。結社賞を受けておられる。俳歴は30年に及ぶ。  鳥井保和主宰の抄出句10句は次の通り。   露の世に置き去られゐし畦秋忌   教へ子の嬰見せに来るさくらんぼ  …
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