『阪神心景』―伊丹三樹彦七種句会アンソロジー

『阪神心景』―伊丹三樹彦七種句会アンソロジー

 伊丹三樹彦先生からアンソロジーを戴いた。ご自宅マンションでは、月五回の句会が開かれているが、それ以外に、姫路、明石の句会のメンバーも含め、多くの同志の作品が並んでいる。ここには筆者も二度ほどお邪魔したことがあり、和やかな雰囲気を感じたのであった。
そのようなご縁を感じながら、一人一句を選ばせて戴いた。



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010 挨拶の 後れはならじ 垣朝顔     伊丹三樹彦
015 花びらをつつく魚おり水の空        青木朋子
020 涼しさは時計はずした手首から     荒木ゆきこ
025 待たさるる受話器に流る祭笛       池田織恵
028 おにやんま軒下巡りは雨さけて       泉 満夫
033 終戦の日ずつと次男の誕生日      乾 呆太呂
037 霜柱踏めば光の折れる音          入江黎子
041 花の雨「勇はまだか」で 日記臥す     岩崎 勇
043 少年は青岬から雲になる          魚川圭子
048 そろそろ秋ですね厚切りレモンティ―  瓜生八頼子
053 色づきは市松模様 里の秋         大澤節子
056 ラ・フランス座りの悪い椅子ばかり     岡谷康子
061 八時十五分黙祷 蝉時雨          勝 俊一
064 友禅をひろげ花野となる座敷        兼田京子
067 朝の窓すべて開きし金木犀         河村清子
071 神神の跳び箱白し春の雲        きくちとおる
075 天守閣今も昔も花に雲           喜多洋子
080 木犀の香に迎えられ 退院す       桑谷孝子
082 水温む誰かが誰かを好きという     小池万里子
088 仁王像に深き臍あり しゃがの花    酒井久美子
092 陽の重み直哉旧居の柿すだれ      坂本久刀
096 強霜を踏んでゴミ出す 月曜日      佐倉義信
100 紫陽花をながめ 来ぬ人待っている   髙濱俊行
104 即売のトマトを齧り宇陀郡        田辺三耶子
107 啓蟄の コロコロ笑う茹で玉子       塚越斐子
112 木の実落つたびに瞬く埴輪の目      辻本冷湖
115 白髪の三樹彦にこそ ジャヤランダ    津田将也
119 花の雨二番目のひとに嫁ぎます      常下友子
124 水玉を合歓に残して通り雨         手島隼人
127 パリー祭 鏡の時計逆廻り        寺川銀次郎
131 紅葉坂ではゆるゆると仏みち        徳田重子
136 デジタルの無音の時間熱帯夜      中田いつ子
140 赤子泣く壊れた夜は星溢れ         中永公子
143 金沢の箔打つ音や斑雪          西田美智子
148 礼を言う 近頃の父 半夏生       西村まき子
151 そのかみの涛音花の須磨・明石      原 尚子
156 姫沼の逆さ利尻に夏鴬            広畑洋子
159 おつかれさまは優しい別れ 寒の雨  福井美代子
163 どの路地も春月 宵寢の漁師町      福本淳子
167 離陸着陸途切れし間の揚雲雀     藤井美智男
171 さざ波の植田の端の余り苗        政野すず子
175 霞濃し 山は病んでいるのかも       松山律子
181 ポストまで誰にも会わず春の雪     山口砂代里
184 かなかなや母校の見ゆる終の家      山田靖子
187 ひらがなは大和の生まれにおいすみれ  吉塚宏子

 三樹彦先生は、この二月三日で白寿を迎えられる。心地よい仲間に囲まれながら、七種句会が末長く続くことを、心底、願っております。またいつか伺いたいものです。

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