蛇笏賞のすべて(角川「俳句」付録)

 角川文化振興財団発行の「俳句」平成28年6月号の付録に『蛇笏賞のすべて』として、50回におよぶ同賞の受賞者略歴・50句抄・紹介文が載っている。知らなかったが、初めのころは角川源義の一人の選であったらしい。「保存版」と銘打つほどの貴重な資料である。
 筆者(栗林)も縁あって、村越化石の紹介文を書かせて戴いた。化石さんは昭和58年、第17回の受賞者で、柴田白葉女さんと二人受賞であった。ここに化石さんの紹介文の初めの部分のみ転載させて戴きます。


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村越化石―視覚によらざる写生

 第十七回蛇笏賞を受けたとき、村越化石は視覚を失って既に十二年過ぎていた。ハンセン病と診断され、十五歳で故郷を離れざるを得なくなったときはまだ健常だったから、故郷の四季や母の温情は清冽な記憶として化石の眼奥に残っている。視覚を失うと聴覚・触覚・味覚・嗅覚が研ぎ澄まされる。それらと共に第六感をも総動員し、故郷の記憶を加え、こころで句を詠んだ。

 化石に母の句が多い。
   母の夢見しより夜長はじまりぬ
母は化石の心であった。楽泉園に慰問に来てくれていた母は既に黄泉の人。母の夢を見る度に目が冴え、思いは故郷へ広がって行く。
 
以下、省略いたしますが、筆者の好きな句を最後に掲げます。
 
   籠枕眼の見えてゐる夢ばかり 

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